古くて新しい街
川崎市麻生区を紹介します。神奈川県の人口は923万人、東端が川崎市、西端が箱根町です。川崎市の人口は154万人なので、横浜市の377万人に次ぐ都市圏です。ちなみに箱根町は1.1万人です。川崎市から箱根町は高速道路で約1時間 (80km)の距離にあります。
川崎市の北部の麻生区は18万人ほどで、中心駅となる新百合ヶ丘駅から東京都の新宿駅までは小田急線で25分ほど、箱根湯本駅までは1時間10分ほど、湘南海岸の片瀬江ノ島駅までは45分ほどです。麻生区が誕生したのが1982年で当時は9.6万人でした。東京郊外の良質なベッドタウンとして人気があり、着実に人口が増加してきました。
この地に星宿山蓮華蔵院王禅寺という真言宗のお寺があり、新百合ヶ丘駅南一帯の住宅地の地名になっています。古くは、天平宝字元年 (757年)に孝謙天皇の勅命で聖観音を祀る堂宇を創建し、延暦17年 (797)に高野山の無空上人がが創設した古刹で、東の高野山と呼ばれ修行僧が集まっていました。
また、1180年に源頼朝が初戦で敗れ、安房国 (千葉県)で再起した際には、武蔵国府 (東京都府中市)から南下し、鎌倉古道を通って鎌倉入りをしました。頼朝の妻政子の妹を妻とした稲毛重成の枡形城のほかに、武蔵坊弁慶の鍋ころがしなど鎌倉源氏や源義経の伝説が残っています。江戸時代には、王禅寺は真言宗ではあるものの、徳川家康が浄土宗の大本山である増上寺に命じて王禅寺を保護しました。
王禅寺地区の住宅地開発は昭和44年 (1969年)に分譲が開始され、5年後の1974年に新百合ヶ丘駅が開業しました。1992年頃から駅前に大規模商業施設が集積し、現在の街並みとなりました。起伏のあるゆったりとした住宅地の通りごとに、ハナミズキやイチョウなどの街路樹が整然と植えられ、四季折々の表情を演出しています。