たぶん、多くの方が知っていることかも知れませんが、今まで関心がなかった方もいるかも知れないのでおさらいです。
まずカテキンです。
カテキンはチャノキの茶葉に蓄積されるされるので日本茶も紅茶も烏龍茶などの中国茶も同じく作られる成分です。
しかし、紅茶は酸化発酵させ、中国茶の多くも発酵させるのでカテキン成分は酸化発酵の過程で別の成分へと変化します。
一方で日本茶は摘んですぐに茶葉を加熱処理して発酵を止めるので不発酵茶に分類されます。
そのため、カテキンは日本茶の特徴とも言えます。
お茶の故郷の中国では雲南省で摘んだ茶葉を何千キロも離れた都やさらに北のモンゴルまで交易のために運んでいたので自然と発酵したことや発酵して固めた方が運搬に便利だったのが理由だと思います。
日本では生産地と消費地の都や城下町までは比較的近いので発酵を止めることが可能でした。
中国茶のお店に行くと四角い木箱にいろいろな茶が並んでいます。
また紅茶の店も壁一面に缶に入れて並べています。
いかにも、お茶やさんらしい光景で私も好きです。
しかし、これは酸化しても当たり前の紅茶や中国茶だからなせる技で、日本茶で酸化は大敵です。
ちょっと神経を使いますね。
でも、発酵させずに健康に良いカテキンなどの成分を抽出して飲むことが日本の緑茶の最大のメリットです。
カテキンは4つの種類に分かれます。
そのうちの注目すべき成分がエピガロカテキンガレート(EGCG)です。驚くべき機能が3つあります。
①抗酸化作用、②脂質分解作用、③タンパク質結合作用です。
抗酸化とはとても酸素とくっつきやすいことです。
相手の酸素を奪ってでもカテキンは酸化しようとします。
そのため相手(人間の身体)の細胞の酸化が抑制される仕組みです。
活性酸素を除いてアンチエージングの効果というのはこの作用によります。
次は分かりやすくダイエットに効果的です。
最後のタンパク質結合は、感染症が注目される環境下で私個人は最も注目しています。
ウイルスはスパイク状の突起を接触させてヒトの細胞内に侵入し増殖します。
これはタンパク質でできていて、突起タンパク質への吸着は多くの物質の中で最も素早いのです。
そんな研究が3月頃に米国の医学雑誌で発表されました。
サイズで言えば大きい順に細菌、ウイルス、カテキンEGCGの順です。
ウイルス突起に多くのカテキンEGCGか素早くまとわりつく姿を想像してみてください。
そうなると、細胞内に侵入出来ずに感染力を失います。
ただしカテキンは飲んでもウイルスには効きません。
小腸から吸収された段階でカテキンは別の物質に変化するからです。
研究者の方の中には感染細胞までカテキンが変容せずに到達する技術を開発している方もいらっしゃるようですが、まだ実用化されていません。
私は感染予防には使えると思っています。
お茶の出がらしでもカテキンは3割以上残っています。
もったいないので、スプレー瓶に詰めてドアノブ、キーボード、リモコンなど至るところをマスクや消毒液が不足していた時はスプレーしていました。
ちなみに、このお茶のカテキン作用や使い方は英語版の電子書籍としても出版しました。
アマゾンKindleとApple Booksからです。
全く宣伝しないので、殆ど売れませんが(苦笑)。
ご興味のある方は英語版ですが日本でもお買い求めいただけます。
https://www.amazon.co.jp/Japanese-Tea-Time-ZENJIRO-English-ebook/dp/B087M3GT8C/ref=nodl_
ちょっと、難しい話が長くなりましたが、ここで前編のおさらいです。
茶葉の健康的な成分の代表であるカテキンは3つの優れた作用があります。
日常的な飲み物としてはベストですね。
次回は「お茶の成分のおさらい・後編」です。ではでは。