お茶に含まれる4種類のカテキンのうちでEGCG(エピガロカテキンガレート)は特に注目されています。EGCGは3つの作用があります。1. 抗酸化作用・2. 脂肪分解作用・3. タンパク質結合作用です。抗酸化と脂肪分解は老化防止やダイエットの関連で利用されていますね。今回取り上げるのは「タンパク質結合作用」に関連しています。
カテキンEGCGとウイルス対策
昨年、英語版電子書籍で出版した著書にも書いていますが、ウイルスの感染突起(スパイク)はタンパク質でできていて、1/10 – 1/100の大きさのEGCGがスパイクにびっしりと吸着することで無効化してしまうので感染予防になります。昨年のインドの研究者による学会誌での発表では、十数種類の物質の中で、EGCGが圧倒的に素早くタンパク質に吸着しました。このことも踏まえて、私は従来、「カテキンは予防には有効」で、お茶を手指にスプレーしたりうがいも良いと言ってきました。
ただし、飲んでも多くは期待できません。それは胃腸から吸収され血液に成分として溶け込むまでに、EGCGから他の物質に変わってしますからです。もし、体内で変化せずにEGCGのまま、血管から体のあらゆる細胞に届けることできたら、インフルエンザもコロナウイルスも、例えどんな変異株であっても細胞内感染を防ぐことができます。ワクチンはスパイク突起のタンパク質構成に合わせて「蓋」を作るのでタンパク質配列のn番目の物質が置き換わるような変異株に対応するのが苦手ですが、EGCGはタンパク質の種類を問わずに吸着しつくしてしまうので万能と言えます。問題は、デリバリー・メソッドで「EGCGのまま細胞に届ける技術開発」だと考えていました。
脂肪酸を活用してEGCGをお届け
そんな中で、面白い試みはあります。例えば、EGCGが消化器系で変化してしまわないように脂肪酸と結合させてしまう方法です。2008年とだいぶ前の話ですが京都大学と大阪大学の研究グループがEGCGに直鎖飽和脂肪酸を合わせたEGCG脂肪酸誘導体で抗ガン剤開発を試みました。この脂肪酸が、身体の中ですぐにEGCGが変化してしまわないような役目を果たしています。このような技術が出てくると良いですね。
このEGCGの本質的な作用をウイルス感染予防においてもさらに強力にする技術もあります。これも脂肪酸による修飾ですが、ウイルスの感染突起を覆い尽くすだけではなく、ウイルスの膜そのものを破壊するものです。これは膜と結合する脂肪酸の効果です。つまり、EGCG脂肪酸がまず最初に感染突起のタンパク質めがけて吸着します、そして脂肪酸がウイルスの膜にくっつき破壊するものです。爆弾を抱えてくっつく飛行機みたいな感じですね。コロナ禍ですっかり手洗いやアルコール消毒が定着しましたが、エンベロープと呼ばれる膜があるウイルスにアルコール消毒は効きます。この技術は不織布マスクやスプレーなどで製品化されているようです。
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注1) 本記事の内容は、科学的に証明されているものでも厚労省などによって公表されているものではありません。Freepik – jp.freepik.com によって作成された hand ベクトル